調べたけれど、繁忙期が無かったもの

このサイトは20の生活サービスについて、混む時期と空く時期を出しています。その裏で、調べたうえで載せないと決めたものがあります。

いちばん多い理由は「季節が無かった」です。よく繁忙期があると言われている分野でも、統計を当たると月ごとの差がほとんど無いことがあります。

たとえばジムの1月です。「新年の決意で混む」とよく言われますが、経済産業省の統計を7年ぶん測ると、1月の利用者数は年平均の0.96倍で、12月に次いで少ない月でした。増えているのは入会の手続きであって、施設の混み具合ではないようです。

ここでは、そういう「調べた結果」をまとめています。ページにしなかったものにも、調べた事実はあります。

  • 調べたもの:14件
  • 出典:10件
  • 経済産業省・総務省・気象庁
一覧

調べたうえで、テーマにしなかったもの

← 横にスクロールできます →

調べたうえで、テーマにしなかったもの(14件)
調べたもの 測った結果
季節差そのものが小さかったもの
ジム・フィットネスクラブ 利用者数の幅 10%(会員数 3%・会費収入 4%)
美容院・理髪店 12月だけ 1.18 倍。残り10か月は 0.96〜1.05
学習塾 受講生数の幅 15%。授業料の単価の幅は 1%
外国語会話教室 受講生数の月別の差 1.04 倍
高速道路 通行台数 8月 1.06 倍・1月 0.90 倍
値段に季節が無かったもの
月による幅が1%未満だったもの 幅 1%未満(6品目)
幅が1〜2%だったもの 幅 1〜2%(9品目)
新車の決算期値引き 自動車(新車)の価格指数の幅 0%
数字はあるが、別のものを測っているもの
結婚式場 数字にできる統計が無い
読み手に時期を選ぶ余地がないもの
葬儀 取扱件数 1月 1.15 倍・6月 0.89 倍
タイヤ交換 積雪1cm以上の初日 札幌11月12日・新潟12月15日・東京1月23日
12か月そろった一次統計が無かったもの
衣料品の値段 コートの調査は 11・12・1月だけ
引越しの値段 国の物価統計に品目が無い(582品目中0件)
自動車教習所 数字にできる統計が無い
1 / 5

季節差そのものが小さかったもの

月ごとの差が小さい分野を、目盛りを引き延ばして「繁忙期があるように見せる」ことはしません。年間の最大と最小の差が一定以下のテーマは、公開前の点検で止まります。

ジム・フィットネスクラブ

利用者数の幅 10%(会員数 3%・会費収入 4%)

経済産業省の統計を7年ぶん(2015〜2019・2023・2024年)測り直しました。会員数の月による幅は3%、利用者数は10%、会費収入は4%です。季節がほとんどありません。

「1月は新年の決意で混む」とよく言われますが、1月の利用者数は年平均の0.96倍で、12月に次いで少ない月です。多いのは7月(1.05倍)と10月(1.04倍)でした。増えるのは入会の手続きであって、施設の混み具合ではないようです。

出典:経済産業省「特定サービス産業動態統計調査 統計表一覧(18表 フィットネスクラブ)」(確認日 2026年9月1日)

美容院・理髪店

12月だけ 1.18 倍。残り10か月は 0.96〜1.05

3つの統計で確かめました。家計調査の理美容サービスへの支出は、12月が年平均の1.18倍・1月が0.84倍ですが、残りの10か月は0.96〜1.05に収まります。年末に山が1つあるだけです。

消費者物価指数の理髪料とパーマネント代は、どちらも月による幅が1%未満でした。値段も混み方も、12か月のページにするだけの差がありません。

出典:総務省統計局「家計調査(家計収支編)長期時系列表 品目分類(全品目)支出金額・月次」(確認日 2026年9月1日)

学習塾

受講生数の幅 15%。授業料の単価の幅は 1%

受講生数の月による幅は15%でした(7年平均)。売上高は夏と冬に大きく伸びますが、これは季節講習の講習料です。

消費者物価指数で授業料の単価を見ると月による幅は1%しかなく、値上がりしているのではなく、講習を追加で取っていることが分かります。1人あたりの支払額は8月が年平均の1.30倍、12月が1.26倍で、いちばん安い5月の1.7倍です。

「高い」と「お金がかかる」は別のことです。教室が混むかどうかとは、別のものを測った数字です。

出典:経済産業省「特定サービス産業動態統計調査 統計表一覧(19表 学習塾)」(確認日 2026年9月1日)

外国語会話教室

受講生数の月別の差 1.04 倍

受講生数の月別の差は1.04倍。ほぼ横ばいで、繁忙期と呼べるものがありませんでした。

学習塾・フィットネスクラブと同じ形です。増えるとしても入会の手続きであって、教室が混むかどうかとは別のものです。

出典:経済産業省「特定サービス産業動態統計調査 統計表一覧(17表 外国語会話教室)」(確認日 2026年9月1日)

高速道路

通行台数 8月 1.06 倍・1月 0.90 倍

NEXCO東日本が公表している月別通行台数(日平均)を、令和4・5・6年度の3年ぶん測りました。8月が年度平均の1.06倍、1月が0.90倍です。最大と最小の比は1.18倍で、年間の幅は16%でした。3年の形はよく一致しています(各月の年ごとの差は最大でも0.048)。

月で見るかぎり、いちばん多い月といちばん少ない月で1割強しか違いません。このサイトが12か月のページにしている分野は、もっと大きく動きます。

それ以上に、渋滞は日単位・区間単位で起きています。お盆と年末年始の下り・上りがいつ混むかは、日にちで見なければ意味がありません。「8月は1.06倍」と言われても、行動を決められないということです。

なお、この数字はNEXCO東日本の路線だけのものです。中日本・西日本・首都高・阪神高速は入っていません。

出典:東日本高速道路株式会社(NEXCO 東日本)「高速道路の月別通行台数(全国路線網・日平均)」(確認日 2026年9月1日)

2 / 5

値段に季節が無かったもの

消費者物価指数で月別の価格を測ったところ、値段が需要につれて動くのは、旅行にかかわる品目だけでした。それ以外の生活サービスは、混む時期でも定価が動きません。

月による幅が1%未満だったもの

幅 1%未満(6品目)

新車・車検の点検整備費・民営家賃・理髪料・パーマネント代・自動車教習料。いずれも消費者物価指数の品目別価格指数で、7年ぶんを測った結果です。

1%は、季節と呼べる大きさではありません。この6品目については、月を選んでも値段は変わらないと考えてよいことになります。

出典:総務省統計局「消費者物価指数 長期時系列データ(品目別価格指数・全国・月次)」(確認日 2026年8月31日)

幅が1〜2%だったもの

幅 1〜2%(9品目)

補習教育・高速道路料金・タクシー代・映画観覧料・ボウリングゲーム代・クリーニング代・葬儀料・鉄道運賃・宅配便の運送料。こちらも同じ測り方です。

学習塾の授業料(補習教育)と葬儀料がここに入っているのが要点です。どちらも件数には季節がありますが、単価は動きません。

出典:総務省統計局「消費者物価指数 長期時系列データ(品目別価格指数・全国・月次)」(確認日 2026年8月31日)

新車の決算期値引き

自動車(新車)の価格指数の幅 0%

新車は、決算期の3月と9月に値引きが出るとよく言われます。それを否定する数字ではありませんが、全国の平均としては月による差が出ていません。

値引きは車種と販売店と在庫の状況ごとの交渉で決まるもので、時期で決まるものではないということです。なお販売台数のほうには3月と9月にはっきりした山があり、こちらは新車のページで扱っています。

出典:総務省統計局「消費者物価指数 長期時系列データ(品目別価格指数・全国・月次)」(確認日 2026年8月31日)

3 / 5

数字はあるが、別のものを測っているもの

月別の統計が存在していても、それがこのサイトの言いたいことと別のものを測っている場合があります。

結婚式場

国の統計にあるのは婚姻届が出された月であって、挙式が行われた月ではありません。別のものを根拠にはできません。

結婚式そのものは、経済産業省の統計で挙式の取扱件数が取れたため、テーマとして公開しています。

4 / 5

読み手に時期を選ぶ余地がないもの

このサイトは「いつやってもよいが、いつが得か」という形で作られています。時期を選べないものは、季節がはっきりしていても扱いません。

葬儀

取扱件数 1月 1.15 倍・6月 0.89 倍

経済産業省の統計で取扱件数を7年ぶん測ると、1月が年平均の1.15倍・6月が0.89倍で、季節そのものははっきりあります。

それでも扱いません。読み手に時期を選ぶ余地がないからです。「いつ行動すればよいか決められる」というこのサイトの目的に、そもそも合いません。なお1件あたりの金額は、月によってほとんど動きませんでした。

出典:経済産業省「特定サービス産業動態統計調査 統計表一覧(15表 葬儀業)」(確認日 2026年9月1日)

タイヤ交換

積雪1cm以上の初日 札幌11月12日・新潟12月15日・東京1月23日

当初は「北海道と沖縄で正反対だから」という理由で見送っていましたが、調べ直したところ、それは正確ではありませんでした。実際には正反対ではなく、時期が3〜6週間ずれるだけです。地域差そのものは、他のテーマと同じように例外として書けば扱えます。

見送った本当の理由は別のところにありました。タイヤ交換はやる時期を雪が決めていて、選べるのは「その中でどれだけ早く動くか」だけです。この形をいまの仕組みで出すと、需要の無い6月・7月が「一番おすすめ」になってしまいます。数字をいじれば見た目は整いますが、それは根拠のない数字を作ることになります。

出典:気象庁「過去の気象データ検索(平年値・積雪の深さ)」(確認日 2026年8月29日)

5 / 5

12か月そろった一次統計が無かったもの

「言われていること」だけを根拠に指数は作りません。統計が無い場合と、統計はあるのに12か月そろわない場合があります。そろわない理由まで確かめてから、載せないと決めています。

衣料品の値段

コートの調査は 11・12・1月だけ

消費者物価指数では、季節外れの月の衣料品が前の月から据え置かれます。マフラーは126か月のうち56%、コート類は67%が前月とまったく同じ値でした。測った値になっていないので、値段が下がる時期の一覧には載せていません。

では実額のほうならどうか。もとになっている小売物価統計調査を、2024年の81市ぶん開いて数えました。そろいません。

季節外れの月は、そもそも調査していない

男子用コートと婦人用コートは、11月・12月・1月しか調査がありません。その3か月ですら81市のうち47市です。2月から10月は、全市が空欄でした。マフラーは11〜2月のみ、セーター(カーディガン・長袖)は10〜3月のみです。

季節ごとに、別の品物を測っている

同じ「婦人用Tシャツ」に銘柄が2つあり、調査期間が重なりません。

長袖または7分袖・綿化繊混のものが9〜3月、半袖・綿100%・プリントのものが4〜8月です。セーターも同じで、カーディガン長袖が10〜3月、プルオーバー半袖が4〜8月に分かれています。つなげて12か月にすると、冬は長袖の値段・夏は半袖の値段を並べたことになります。

1年ある品目は、ほとんど動かない

1年を通して調査があるものもあります。サンダルは12月が1.033倍・1月が0.972倍で幅1.06倍、婦人用ストッキングは幅1.003倍でした。81市のうち74市・78市が、12か月のうち6か月以上まったく同じ値です。

衣料品に「12か月ぶんの値段」という測り方が、そもそも存在しません。消費者物価指数の据え置きは、指数の都合ではなく、もとの調査に値が無いことの現れでした。

出典:総務省統計局「小売物価統計調査(動向編)結果表1 調査品目の月別価格及び年平均価格」(確認日 2026年9月1日)

引越しの値段

国の物価統計に品目が無い(582品目中0件)

引越しが混む時期は引越しのページに出しています。国土交通省が「3月の引越件数は通常月の約2倍」と明記しているためです。ところが料金のほうは、月別の実測値を持っていません。

3つの統計を、品目の一覧から確かめました

消費者物価指数は582品目を採用していますが、その一覧を全文検索して「移転料」0件・「引越」0件でした。「運送料」は1件ありますが、品目符号7433で、通信料(携帯電話)と携帯電話機のあいだ——通信の並びです。宅配便などの運送料であって、引越しではありません。

家計調査の収支項目分類一覧(1,435セル)でも同じで、「運送料」は符号769、やはり通信(760〜769)の中にあります。小売物価統計調査は品目1001〜9761の全31ファイルを開きましたが、引越しに当たる品目はありませんでした。

なぜ品目にならないのか

物価統計は「同じ銘柄を毎月測る」しくみです。引越しは見積もりごとに値段が決まり、荷物の量も距離も作業人数も毎回違うので、毎月比べられる単価を定義できません。だから品目になりません。

比較サイトが出している「平均料金」はありますが、あれは各社が自社の見積もり実績から作った数字です。このサイトはそれを指数の根拠にしませんデータの作り方)。写した瞬間、根拠欄に書けるのが「他社の予測」になってしまいます。

出典:総務省統計局「2020年基準消費者物価指数 品目情報一覧(作成関係資料 Ⅳ-1)」(確認日 2026年9月1日)

自動車教習所

繁忙期が2〜3月と8〜9月であることは広く言われていますが、警察庁の運転免許統計は年単位で、月別の卒業者数は公表されていません。

なお値段のほうは動きません。自動車教習料は、上の「値段に季節が無かったもの」に入れてあります。

なぜこのページがあるのか

カテゴリーによっては、まだ1本も掲載できていないものがあります。「美容・生活サービス」と「教育」がそれにあたります。

埋まっていないのは書く手が足りないからではなく、一次データまで当たったうえで、載せるだけの季節が見つからなかったからです。カテゴリーを埋めるために基準を下げることはしません。根拠が見つかり次第、追加します。

「調べたが何も出なかった」は、ふつうは公開されません。しかし探している人にとっては、それも答えです。「ジムは1月に混む」と書いてあるページがいくつあっても、実際の利用者数が年平均の0.96倍なら、その情報には価値がありません。

載せると決めたもののほうは年間タイミングマップに一覧があります。 値段のほうは値段が下がる時期の一覧、 判定の作り方はデータの作り方をご覧ください。